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ENDS


★LIVE DVD
『TOTAL TONE』
MYBD-10006
M&I Records
6,300円(税込)
★NEW ALBUM
『THE COUNTER』
MYCD-30307
M&I Records
3,000円(税込)
★ACOUSTIC LIVE ALBUM
『HI-UNPLUGGED』

MYCD-30312
M&I Records
3,000円(税込)



ENDS オフィシャルサイト
http://www.ends.co.jp/

 芸能界や音楽界、さらには映画やお芝居の世界、そのそれぞれのシーンで旬の表現者たちが脚光を浴び、眩い輝きを放っている。それはデビューという夢を掴んだばかりの新人であったり、実力をつけてきた成長株の若手であったり、脂の乗った中堅であったり、いぶし銀のベテランであったり。そんな今一番注目したいアーティストを紹介するコーナー「ATTENTION!」。今回は、ライブDVD『TOTAL TONE』をリリースした遠藤遼一のソロプロジェクトENDSを紹介する。

 インダストリアル、ノイズ、アバンギャルド…といったスタイリッシュなサウンドに甘味で知的なエロティシズムとセクシャルなボイスを加味することで、崇高で極上のデジタルポップを構築していたSOFT BALLET。バンドは1995年に解散するものの、その1年後、ボーカリストの遠藤遼一はTHE ENDS(その後、ENDSに改名)としてソロ活動をスタートさせた。エモーショナルなボーカリゼーションを武器に彼が創り出したのは、VOXオルガンとパーカッションを大胆にフィーチャーした60年代サイケデリックロックを彷彿させるプリミティヴなバンドサウンド。そして、もう1つ。ネガティブな時代に反旗を翻すリベラルな言葉だ。彼の思想や哲学が歌詞に落とし込まれ、加速度的に深刻化していく時代の中で自分を見失った者たちに“自分は自分のままでいいんだ。自由なんだ”というメッセージを送った。

 2002年、SOFT BALLETが復活。2年間の期間限定の活動ではあったが、6年前の焼き直しをするのではなく、それぞれのソロ活動を踏まえた上での再結成であり、そのサウンドはハイセンスと悪趣味が錯綜する確信犯的なデジタルポップだった。

 SOFT BALLETの完全なる終結後、ソロ活動を再開させた遠藤遼一ことENDS。満を持して発表された3年ぶりのオリジナルアルバム『THE COUNTER』は、打ち込みなどのテクノロジーを多用し、大きく進化したサウンドを提示した。そして、次なるENDSのアクションは、当然のことながらアルバムを引っ提げてのツアーである。しかし、それだけでは終わらなかった。約半年後にアンプラグドで、さらに1カ月後には『AFTER THE COUNTER 05-LIMITLESS』と題してデジタルを基調としたスタイルでのツアーを行ない、自由なスタンスで進化を繰り返すENDSの姿を見せつけたのだった。

 8月18日、そんな2本のツアーが2枚組DVDとしてリリースされた。

 ディスク1は5月6日にSHIBUYA O-Eastで行なわれたライブをシューティング。大きな波動が来ることを予感させる熱がフロアを徐々に占拠していき、やがてそれが抑圧されていたエネルギーを刺激して一気に爆発する様は圧巻だ。デジタルが生む無機質なビートと生バンドのグルーブは融合するのではなく、逆に反発し合うことで、緊張感と“うねり”をサウンドに与えている。そこにはかつての直情的でエネルギッシュなライブを繰り広げた頃とは違う、ある種ソフィスティケートされた野性が感じられた。それが現在の遠藤遼一のテンションなのだろう。

 もう1枚は4月9日に同会場で行なわれたアンプラグド編成でのライブ。遠藤とツインボーカルを聴かせる流麗な琴の旋律やアコースティックギターのやさしくも力強い調べが紡ぎ上げていく音世界は、ディスク1とは違った響きでフロアを酔わせている。また、ジャジーにリアレンジされた「寒風」など、それぞれの楽曲がアコースティックならでは表情を見せているのも特筆すべきところだ。

 全く異なるスタイルのライブをパッケージした作品だが、そこにはさらに変わりつつENDSの現在時点での姿も収められている。多くのものを吸収し、それをサウンドの中に取り込み、様々な方向に進化し続けるENDSが、このツアーを経た後に今度は何処に着地するのかに興味が持たれる。




from 『GooDol Vol.03』


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