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「イデア」「翡翠」「聲」という3枚のシングルの経て完成した、約2年ぶりとなる4枚目のアルバム『A MOON CHILD IN THE SKY』。英訳した自分の名前をタイトルを掲げた本作は、自身の中で“カッコ悪さ”がテーマとしてあったということもあり、前作『天龍』とは違った彼女の表情を切り取り、アーティスティックな面というよりもプライベートな面がさらされている。また、サウンド的にもロックが力を持っていた80年代のテイストをふんだんに盛り込み、かなりロケンローな作品に仕上げている。



ボーと何もしない日々を過し、
ダメ人間の生活をしていました(笑)



−前作『天龍』から約2年ぶりのアルバム『A MOON CHILD IN THE SKY』が完成しましたが、まず『天龍』は自分にとってどんな作品になっていますか。

天野月子(以下、天野):『天龍』は『Sharon Stones』(1stアルバム)のアグレッシブ感と『Meg Lion』(2ndアルバム)のマニアック感を出したいというか、その2枚を足して2で割って、さらに階段を1段登りたいという思いで作ってました。

−『Sharon Stones』と『Meg Lion』は作り込まれたアルバムだったのですが、『天龍』はそこで完成されたものを壊して、また違ったものを作ったような印象が強いのですが。

天野:そうですね。メロディーライン的には、自分の癖を壊そうと思って作ってたところがあります。音の飛び方にしても、今まで行ったことのないところに飛んでみたいと思って、鍵盤を多様してみたりとか。やっぱり好きな音の飛び方があるので、どうしても鼻歌で作るとコードとかが似てきちゃうんですよ。そういう癖を崩したいという思いがあったから、「ここからあそこへの音の飛び方は気持ちがいいか?」というのを探ってましたね。

−『Sharon Stones』から『Meg Lion』へは半年のスパンだったのですが、『Meg Lion』から『天龍』へは1年掛かっていますよね。それだけ模索をしたということですか。

天野:それもあったし、漢字1文字のアルバムにしたいと思ってたんですね。シングルで「鮫」「蝶」と出して、その時に書きたかった曲が「龍」と「劔」だったから、「ここまできたら全曲漢字1文字にしてやる!」って。しかも…これは盤面に書いたんですが、曲名を入れた曼荼羅みたいな絵を書きたいという野望もあったので(笑)、それを達成するためにピンとくる漢字1文字を全部書き出して、そこからイメージを膨らませていったんです。例えば「月」だったら、100人いれば100人にとっての「月」があるわけだから、「だったら、私にとっての『月』は何よ?」ということで、すごく自分にとってプライベートの曲になりましたね。そういう意味では、その漢字1文字に対して「私のイメージはこうだ!」という自分の視点が出せた…1文字しかない漢字をイメージする一瞬を閉じ込めたかったので、気持ちの波の通過点を出せたアルバムになりました。

−そんな『天龍』発表後、クリップ集『V』とカップリング集『Winona Riders〜月の裏側〜』のリリースし、インターバルを設けたわけですが、やはり『天龍』を作ったことで一旦区切りがついたのですか。

天野:いや、そういうわけでもなくて、1月に『天龍』を出した後に3月ぐらいにライブをしたんですね。その時に「ちょっと、お休みをします」という宣言をしたんです。それまでって3カ月に1枚は何かを出してたんで…一番間が開いたのでも『Meg Lion』と「鮫」までの半年ぐらいだったから、ゆっくり物を作っていきたいと思って。『天龍』を作った勢いのままで次を作るのもアリだと思うんですけど、敢えて止めてみたかったんですよ。だから、ボーと何もしない日々を過し、ボケ〜とゲームをする日々を過したりして、ダメ人間の生活をしていましたね(笑)。でも、そうすることによって、「次はこういうものを作りたいな」という思いが自然発生するのを待っていたというのはあります。


ロックなアルバムを
作りたいと思ってました



−今回のアルバムまでに「イデア」「翡翠」「聲」という3枚のシングルがあったわけですが、その休んでいる時に「こういうものを作ろう」という創作意欲が沸いて生まれたものになるのですか。

天野:「イデア」はアニメ『金色のガッシュベル』のエンディングテーマというお話が来なかったら、このタイミングでは出さなかったと思いますね。もうちょっと休んでいたかったんで(笑)。でも、アニメのテーマソングってすごくやってみたかったんですよ。

−どんな曲にしようと思って作ったのですか。

天野:やっぱりチビッコも歌えるように、そんなに音域もなくメロディーが簡単で、楽しくなれるような曲を書こうと思ってたんですけど、すごく80'sになってしまいました(笑)。でも、スタッフのお子さんや甥っ子さんが歌ってくれているそうなんで良かったなって。

−そこで80'sなものができたことが、今回のアルバムの方向性に繋がった?

天野:「次はすごく80'sな感じになる気がする!」と思いましたね。でも、次の「翡翠」で「オーケストラでやってみようよ」という企画を考えてしまったんです。っていうか、デビュー当時からオーケストラをバックに歌うっていうことをすごくやりたかったんですよ。

−「翡翠」はオーケストラをバックに歌うことを前提に作ったのですか。

天野:「ここに伸ばしフレーズがあって、そこに弦が絡んで〜」ということをイメージして作りましたね。だから、レコーディングもすごく楽しかった。「せ〜の」で一緒に歌わせてもらったし。

−では、「聲」は?

天野:PS2ゲームソフト『零〜刺青の聲〜』のイメージソングのお話があったんですけど…もともと「聲」の世界観はすごく歌いたかったものんですけど、“相手と二度と逢えない”という世界観を曲でどう表現すればいいのかが分からなかったんです。でも、ゲームの資料を見せてもらったら内容がまさにソレだったんで、すぐにイメージが浮かび上がりましたね。

−壮大でドラマチックな曲ですよね。それはやはり「イデア」の80'sなところや、「翡翠」のスケール感がうまく生きてるなと思ったのですが。

天野:そうですね。それらが下地になったというか、その中心になるものがポンと生まれた。あと、「菩提樹」や「人形」とかが持っているものを一気に詰め込んだところもありますね。だから、「天野月子といえば、コレ」という曲を作ったというか、そういうものを作って、ここで一旦締めておいて、アルバムに行きたかったというのがあります。

−その頃にはもうアルバムの方向性みたいなものが見えていたのですか。


天野:書き掛けの曲があって、あとは曲のタイトルだけが浮かんでいるという感じでしたね。何曲かは録ってたりもしてたんですけど、「聲」は年始ぐらいに書いたんで、まだそんなには…。

−「聲」のカップリング「萌」は80'sっぽいロケンローな曲だったので、もうある程度は見えていたのかなと思ってました。

天野:「翡翠」のカラッとした弦の感じと「聲」の壮大でウエットな感じの中間を埋めるような曲なので、「イデア」「翡翠」「聲」のバラバラ感にもっと違う要素のものを織り混ぜたことによって1つにまとまったみたいなのところはありましたね。

−そして、アルバム『A MOON CHILD IN THE SKY』なのですが、ロック色が強いのですよね。それは意識されたのですか。

天野:ギターリフを入れたりして、ロックなアルバムを作りたいと思ってましたね。「Devil Flamingo」は頭の中でリフが鳴ってたんで、「このリフがあって〜」って自分で組み立ていきました。「JOKER JOE」はサビだけができていたから、あとはリフが欲しかったんですよ。でも、自分でリフを作ろうとすると似通ったものになったり、歌メロになってしまうんですね。だから、「最初にリフを作ってもらうというのはどうなんだろう?」というチャレンジをやってみたんです。サビだけはあるから、そこまでの流れをアレンジャーに任せて、その間に私はそれまでのメロディーを考えるという。

−曲ができていないのにアレンジャーに渡して?

天野:「好きに作ってみて。キーはこれだから」って(笑)。で、できてきたものにメロディーを乗せて、「JOKER JOE」は作りました。だから、今回のアルバムはリフ曲をいっぱい入れたいというのはありましたね。

−では、そういう部分を意識しながらバランスを考えて、アルバム的に足りない曲を書いていったという感じですか。

天野:そうですね。足りないものと締める曲はどんなものがいいかって。

−「花冠」がアルバムの最後の曲ということも意識して?

天野:意識しましたね。すごくプログレになってしまったんですけど(笑)。「一番はここで転調するのに、二番はここじゃないんですね」って弦を入れるアレンジャーの人がすごく困ってました。

−そんな「花冠」の世界観やサウンドなのですが、「聲」と共通する部分がありますよね。そういう意味でも「聲」が今回のアルバムの中で占めるウエイトは大きいかなと思ったのですが。

天野:大きいですね。「聲」が中心にある気がします。「聲」「Stone」「砂糖水」が真ん中にあって、最初と最後は…絶対に「Devil Flamingo」で始まるっていうのは決めていたから、それがカラーになってるし、「聲」が中心にあることで、そこから最後の「花冠」までが1つの流れになってますよね。

 
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