バンドがなくても暮らしていけるけど
俺の人生はバンドあった方がもっと楽しい
−1996年春に高校の同級生同士で結成してから、今年で10年。振り返ってみると、どんな10年でしたか?
安井佑輝(以下、安井):…10年一緒にいるってのは、なかなかないことですよね。
大塚雄三(以下、大塚):ウチらは派閥とかないですからね(笑)。でも、だいたい1:3で分かれますけど。コナはコナ派だから(笑)。
高野真太郎(以下、高野):コナが一番、この10年で変ったと思う。間違いなく成長している感があるもんね。
大塚:最近、垢抜けてきたね(笑)。
小名川高弘(以下、小名川):やっと?(笑) でも、価値観とかの育ち方って、小中高で培ったものよりも、この10年で培ったものの方が大きいような気がしますね。
大塚:メンバーの人間的な長所と短所があるじゃないですか。顔がこの顔なのと一緒で、「こういうヤツなんだ」と思えるようになったというか、そういうところに腹が立たなくなりましたね(笑)。
高野:昔は腹が立ってたんだ(笑)。
大塚:悪い部分を矯正してやろうと思ってた(笑)。だから、良い悪いじゃなく、「この人はこういう人なんだから」と思えるようになって、もめることもなくなりました。
高野:いろんなことをフラットに考えられるようになったかもしれない。
安井:成長している部分と、変らない人間性みたいな部分があるから、「ここはしょうがない」と思っているというか、やっぱりバンドなんでそういうものが分った上で適材適所じゃないけど、役割分担みたいなものができていますね。
−成り立ちがメンバー募集とかで見ず知らずの人間が集まったバンドじゃなくて、高校の同級生だからメンバー同士の繋がりも深まっていったんでしょうね。では、バンドに関しては?
大塚:少し波があるんですけど、始めは趣味のようにやってて、途中は仕事のようにやってて、今また趣味のようになってますね。バンドに自分が選ばれたんじゃなくて、自分がバンドを選んでいる…「バンドがなくても暮らしていけるけど、俺の人生はバンドあった方がもっと楽しい」というスタンスになってる。だから、お金にならなくなってもやってるんだろうなって。やっぱりデビューしてちょっと経った頃というのは、追われる部分もありましたからね。
−メジャーということで、そこには契約が発生していて、1年間に出さないといけない音源の枚数も決められている状況だったでしょうしね。
大塚:そうですね。今、レコーディングでクリックを使っているんですけど、クリックを使い始めた当初はそれに縛られている感じがあったんですよ。でも、今はクリックを使って遊べている。それと同じですね。プロとしての最低限のルールの中で遊ぶ。それができるようになったから、またバンドが趣味のようになってきた。
小名川:曲作りに関しても、メンバーそれぞれに幅みたいなものができてきましたね。昔はチャコールフィルターで表現していることが俺達の幅だったけど、今はもう4人に幅が出てきているから、その中からチャコールフィルターとして表現するものを選んでいる。だから、ゆとりもありますよね。
−あと、10年間の活動を振り返ってみると、常にライブをしている印象があるのですが、やはり活動はライブを中心に考えていました?
小名川:ライブをやっていないと落ち着かないというのは、今も昔も変ってないですね。
大塚:例えば、ライブが1年間ないってなったら、俺は気が緩んでダメになりますね(笑)。
高野:音を出しているという感じが違うというか…もちろん、スタジオでも音を出しているんだけど、4人が揃って一定の方向に向けて音を出していると「音を出してる!」って感じがするんですよ。
大塚:ステージで音を出した時の存在感…演奏の上手さとかじゃなくて、一番最初に音をバンって出した時の存在感というのは、ライブでしか培われないものだしね。
小名川:結局はスタジオワークばかりではダメだってことがよく分ったんですよ。俺はスタジオだけでも生きていけるタイプだと思うんですけど、音楽を肌で感じる場所も必要なんですよ。スタジオだけだと自分の世界に閉じこもっちゃうし、バンドは生で音を出した時の成長が大きいですからね。
−ライブがバンドを成長させる?
高野:それはどっちもだと思うんですよ。ライブでやったことによって自分のものになっていっているし、スタジオではすごいシビアなところで音楽と向き合うからレコーディングすると確実に何かを掴むし。その繰り返しでひとつずつ上がってきたみたいなところがありますね。
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