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PLAY LIST

1. Happy hungry days
2. I wish on my first
3. Snow drive
4. Seeds of future
5. Don't miss it
6. 卒業
7. リビドー
8. 夜明けの向こう
9. カップリングメドレー
    ララ
  〜 Turning point
  〜 Let's go
  〜 ロマンチック
  〜 19
  〜 Communication
  〜 Single word
10. 手紙
SE. MUSIC
11. Liberty
12. Kazematic
13. Jumpin' high
14. 2,000 light years away
15. Brand-New Myself
encore
E1. White winter song
E2. Wow wow パラダイス
E3. はじけよう
E4. 日常


オフィシャルサイト

http://www.powerpop.co.jp/cf/
http://columbia.jp/~charcoal/

CHARCOAL FILTER 『Made in TOUR』
2002.11.9 ON AIR OSAKA


 決して速くないスピードで、着実にバンドを成長させてきたチャコールフィルター。もともとグリーン・ディに影響を受けてメロコアサウンドを追求するバンドだったが、歌詞を日本語で書くようになったころから、パンク色よりもポップ色が強まっていき、精力的なライブ活動によって動員力もつけてきた。そういった成長過程にあるバンドは俗に“勢いのあるバンド”と呼ばれ、それは現在の彼らを最も象徴する言葉だろう。ニューアルバム『MADE IN Hi-High』は、そんな彼らの成長過程の1つの到達点であり、次のステップへのスタート地点だと言える。

 また、今年の春からは『ウー・ヤー・ター』というタイトルを掲げ、大阪限定のスペシャルシリーズとして5月に心斎橋ミューズホール、7月には心斎橋クラブクアトロでライブを行い、渾身作である『MADE IN Hi-High』を引っ提げての今回のツアーのON AIR OSAKAは、その最終公演。これまでのバンドの進化の度合いがリアルに体験できる場となることは言うまでもないだろう。

 そして、当日。チケットは現在のバンドの勢いを表すかのようにソールドアウトで、約1100人のオーディエンスがフロアを埋め尽くしている。それも若いバンドにありがちな女の子ばかりの客層ではなく、男性ファンも多く巻き込んでいて、1曲目の「Happy hungry days」から場内は盛り上がり、曲が進むに連れて場内の熱気も加速度的に増していった。センスフルなポップ感覚を持つバンドだけに、ノリやすい“ポップでキャッチー”な楽曲が彼らの武器である。

 しかもそれが単純に“ポップ”のひと言で片づけられないのが彼らのサウンドの最大の魅力。もともとメロコアサウンドを追求していただけに、ロックなスピリッツを持った上でポップに傾倒しているため、楽曲的にはポップなのだが、その重心は低いところにあって“軽さ”を感じさせないのだ。ポップなアプローチの奥に強じんなバンドグルーブが潜んでいるのである。そういう意味では、徐々に客席を盛り上げていくのではなく、初っぱなからフルスロットルでたたみ掛けることもできるバンドだけに、「彼らならもっとテンションの高いライブがやれるはず」という物足りなさを若干残した序盤戦でもあった。

 しかし、中盤に入ってフレンドリーなMC やカップリング曲のメドレーなどで完全に客席との距離をなくすと、ライブのイニシアティブをバンドが取り、さらに場内のボルテージを引き上げていったのはさすがだ。しかし、今度はボーカルの大塚の声が枯れ始める…。それは悲壮感が漂うほど気になるものではなかったが、いまひとつ声に伸びがなくなってしまったというのが正直な感想。この状況下でどんなライブを展開するのかが見どころでもあったが、クールダウンするどころかさらにテンションを上げて後半戦に突入していったのは、“勢いのあるバンド”だからこその底力だろう。

 大塚も声が出いる出ていないという次元ではなく、普段と変わらないライブパフォーマンスで、時には客席をあおり、時には挑発していたし、マインドの部分をむき出しにして歌っていた。また、バンドが一丸となってオーディンエスをぐいぐいと引っ張っていく姿は圧巻で、後半戦からアンコールに掛けては場内が完全に1つになって、ライブというホットな作品が作り上げられていったのだった。

 “勢いのあるバンド”であり、“ポップでキャッチーなバンド”でもあるチャコールフィルター。まだまだ成長途中だけにいろいろと課題を残すものの、そこには真摯に音楽と向かい合っている姿勢が垣間見れるからこそ、その課題だったところが次回の見どころとなる。そういう意味でも、この日のライブは心斎橋ミューズホール、心斎橋クラブクアトロと駒を進めてきた『ウー・ヤー・ター』シリーズの最終公演として相応しいライブであり、すでに自分達が次のステップに向かっていることも実証したライブでもあった。そうやってバンドはライブを繰り返す中で着実に成長していっているのだ。きっと次の春のツアーでは、またひと回り大きくなった姿を見せてくれることだろう。(石)

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